真冬の深夜に・・・

真冬の深夜に目が覚めると・・・
外は妙に明るい。
月明かりが雪面を照すので、まるで夜明けのようだ。
けれども、時間はまるで水銀の流れのようにゆったりと過ぎる・・・
いつになっても夜明けは来ない。
こんな時はどうしても気持ちは沈み、低い場所で思考が続く。
時は気がつけば逆行している。
  この森にはたくさんの人達がいて、毎日汗を流して働いている。
  誰の顔にも、未来を信じて疑わない自信と陽気さが溢れている。
  林業が、花形だった季節・・・
  この木は僕達の孫のために・・・
  この苦労は、私達の子供たちの未来のために・・・
  そうやって人々は毎日重い苗木を背負って、朝から晩まで働いていた。
  
  たくさんの男達と女達・・・そしてその何倍もの子供たちの笑顔。
  実際、この森の奥には学校があり、今でもその名残は、地名として残る。
そんな時代があった。
たくさんの人たちの歴史と想いが・・・この森に存在した。
窓の外の、白んだ、まるで凍ってしまったような時空間からは、子供たちの声が・・・そして、力強い男達の足音が聞こえて来るかのようだ。
時は過ぎ、人々は消え、季節も変わり、何もかもが昔となる。
けれども、確かにそんな時代が在ったことを語るかのように、
森の木々は静かに、泰然と、手を広げている。
気がつけば、夜は明けていた。

  


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