晩秋の渓をゆく
一人、静かにそのまるで水晶のように澄んだ水面にフライをそっと・・・
夏のあの虫達の音もなく、
鳥達の声も聞こえず、
ただ、ただ・・・ 水の流れる透明な音が響くだけ。
晩秋の渓 それは、いわゆる釣ではないのかもしれない・・・
まるで、全く違う世界へと・・・ふと足を踏み入れてしまったような、そんな感覚に襲われる。
誰もいない・・・音も無く・・・ただ、透明な時を刻む水の音が流れる。
気がつけば日は傾き、辺りは紅く染まっていることに気がつく。
ふと岩の上に腰をおろし、その美しさ、静けさに、ただ、ただ・・・心をかたむける。
晩秋の渓には、人を迷わせる何かがあるようです。